7と1/2階でシャングリラ

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俺のアイドル楽曲大賞2021

飛沫防止シート越しでしか、アイドルに触れられなくなった2021年。2度目の東京ドーム公演完遂の乃木坂46ら、坂道シリーズの人気は衰え知らず。BiSHは並みいる競合が成し得なかった、紅白出場を掴み取った。その一方、乃木坂46から生田絵梨花が卒業。さくら学院は”閉校”、BABYMETALが”封印”、Maison book girlは”削除”と去るものも。ZOCは大森靖子恫喝音声流出、巫まろ不倫報道とてんやわんや。コロナ禍前と変わらない混沌へ突入も、この1年は楽曲のクオリティが見直された時期でもあった。ということで、本家「アイドル楽曲大賞」をベースに、2020年12月1日〜2021年11月30日リリースされたアイドル楽曲のベスト30を私の独断と偏見で選出し、ランキング付けした。 

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ハロプロ楽曲に関しては別枠にてレビュー。

anztolchock.hatenablog.com

第30位 クマリデパート「限界無限大ケン%」

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”世界のこころのデパート”クマリデパート、6枚目のシングル。作詞作曲はサクライケンタとWiennersの玉屋2060%で、2ndシングル「シャダーイクン」と同じ布陣で制作。玉屋のドラッギーなメロディとアクバティックな転調の中に、サクライ特有のクラップやマリンバが奏でられており、今年活動終了したMaison book girlの面影が感じられる。作家性の強い天才2人が、お互いの持ち味を上手く引き出し合っている一曲。

第29位 Ringwanderung「燃える火曜日」

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鍵盤ロックアイドルRingwanderung、1stアルバム「synchronism」収録曲。作詞はIMATETSU、作曲はMumei。現在、東京の地下シーンでは鍵盤主体の邦楽ロック調の楽曲でフロアを沸かせるというブームが起きているが、その火付け役であり元祖総本山的存在。緻密に練り上げられた歪んだピアノのサウンドが怒涛の勢いで押し寄せるオルタナティブなロックチューンで、ライブ映えする一曲。

第28位 IDOLATER「消せない・・・」

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ASOBISYSTEM所属IDOLATER、1stシングル。作詞はTatsuya Inagi、作曲は三谷秀甫。制御不能の込み上げる恋愛感情を綴った、ディスコファンクテイストのシティポップ。歌謡曲調のメロディに爽やかなシンセサウンドと軽快なワウギターと、一昔前のエイベックスのようで、世代にはたまらない。歌い出しの奥田彩友のふにゃふにゃした歌唱が面白い。3人体制になり、メンバーの個性が際立った。

第27位 私立恵比寿中学「イヤフォン・ライオット」

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今年、3人の新メンバーが加入した私立恵比寿中学、配信シングルでベストアルバム「FAMIEN'21 L.P.」収録曲。作詞は児玉雨子、作曲は杉山勝彦。ノイキャンのイヤフォンで世の中のノイズから耳をふさぎ、自らを解き放つメッセージを込めたポップチューン。エフェクト処理したボーカルなど、夏らしい爽快感満載。ラップからシンガロングの流れでは、格の違いをまじまじと見せつけられた思い。安本、おかえりなさい!

第26位 透明写真「FIRE」

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USAGI DISCOプロデュース透明写真、ミニアルバム「QueSeraSera」収録曲。作詞作曲はUSAGI DISCO。EDM女子高生クルミクロニクルのDNAを受け継いだ正統後継者が、アイドル界についに降臨。クールでソリッドなシンセサウンドと、いい意味で熱量が低くキュートな歌声のギャップが面白い。6年前のように、もう一度この唯一無二の良質エレクトロポップでフロアをぶち上げてほしい。そう、紛れもなく”楽曲派”である。

第25位 YORUWA KOREKARA「Take Off」

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大阪を拠点に活動するYORUWA KOREKARA、1st EP「Voyage-midnight-」収録曲。作詞作曲はBlackstone Village。Especia最初期に楽曲提供していたRillsoul主宰のBlackstone Villageが手掛けているだけあり、ダンサブルなフューチャーソウルのサウンドがものすごくツボ。メンバーにはかつてのEspeciaのメンバーような歌唱スキルはないものの、だからこそ醸し出す独特の抜け感のあるナードな雰囲気が妙にクセになる。

第24位 DIALOGUE+「夏の花火と君と青」

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声優アーティストユニットDIALOGUE+、1stアルバム「DIALOGUE+1」収録曲。作詞は本間翔太と音楽プロデューサーの田淵智也、作曲は瀬名航。tipToe.のチームが手掛けた楽曲は、アオハルな花火大会デートがストーリー仕立てに。チップチューンやストリングスの要素を取り入れたアレンジで、声優ならではの声質が活きている。声優グループとしてアイドル領域にこれだけ食い込めているのは、DIALOGUE+が初めてでは。

第23位 yumegiwa last girl「グルーミー

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最南端トラックス所属yumegiwa last girl、現体制1stアルバム「6/6」収録曲。作詞は夢際りんと水間幸太郎、作曲は最南端トラックス。独特の浮遊感を覚えるオルタナティブなギターロックで、夢際リサのハスキーな歌声がアクセントに。実は昨年、当ランキングにユレルランドスケープ「mellow」を入れようと思ったが、同レーベルのグループがアイドルかボーカルユニットか分からず、見送った経緯が。今年は満を持して。

第22位 グデイ「Songs from the thistime」

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ミ米ミ、室井ゆうによる超自由音楽ユニットグデイ、5枚同時リリースEPの1枚「ディグ(SKYBLUE)」収録曲。作詞はONIGAWARAの竹内サティフォとF水K洋、作曲はtotosのフカミズコウヨウ。男性目線の切ない恋愛を描いた、シューゲイザーテイストの壮大なミディアムバラード。ゼロ年代ロキノン系の空気感も。芯のある歌声のミ米ミと、アニメ声の甘い歌声の室井のコントラストが美しい。

第21位 RYUTist「水硝子」

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新潟古町を拠点に活動するRYUTist、配信シングル。作詞作曲は君島大空。君島の奏でるアヴァンギャルドで色彩豊かなエレクトロニカの波を、4人の透明感のある澄んだ歌声が優しく泳ぐ。その反面、歌詞は意外と猟奇的。アイドル楽曲としては過度に前衛的ではあるが、歌声は加工されておらず、身体性が感じられる。今年デビュー10周年を迎えたが、メンバーの変遷があるとはいえ、このピュアさを保てているのは奇跡的。

第20位 RAY「レジグナチオン」

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「圧倒的ソロ性」と「『アイドル×????』による異分野融合」RAY、2ndシングル「Yellow」収録曲。作詞作曲は死んだ僕の彼女のishikawa。轟音のギターの奥底からメランコリックなシンセが降り注ぐ、甘美なノイズポップ。レジグナチオン(諦念)とは森鴎外の提唱した、現在取り巻く状況をを運命として受け入れる理想的境地。希望と絶望のはざまの混沌とした世界観で、一言一言諭すように歌う。

第19位 タイトル未定「鼓動」

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北海道札幌市を拠点に活動するタイトル未定、1stアルバム「青春群像」収録曲。作詞はプロデューサーの松井広大、作曲はTRIPLANEの江畑兵衛。ミディアムテンポの壮大なバラード。希望に満ち溢れたストレートな歌詞はやや気恥ずかしさを感じるが、楽曲にすると違和感を覚えないのは、透明感のあるメンバーの歌声からか。ピンチケアイドルのプロデューサーが東京を離れ、楽曲派のローカルアイドルを手掛けるとは面白い動き。

第18位 femme fatale「鼓動」

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戦慄かなの、頓知気さきなの実姉妹ユニットfemme fatale、配信シングル。作詞作曲は水曜日のカンパネラケンモチヒデフミ。同じ「鼓動」なら鼻差でこちら。言葉の持つリズムや響きを重視し、韻や言葉遊びを多用。独創的なメロディが誘うユートピアは虚構のリアル。バッドトリップの「不思議の国のアリス」。戦慄の戦略的なプロデュースが、地殻変動を起こす。豪華すぎるMVの金の出所がファビュラス。

第17位 東京女子流「ワ.ガ.マ.マ. - MURO’s KG Remix」

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結成11年を迎えた東京女子流、28枚目のシングル「Hello, Goodbye」のリミックス配信シングル「Hello, Goodbye Remix」収録曲。作詞作曲はChocoholic。幻想的な質感の先鋭的なエレクトロを、MUROがディスコとAORの魅力を詰め込んだ80sシティポップにアレンジ。元々が松井寛楽曲の出自なだけあり、この極上のトラックに4人の歌声がマッチ。特に中江のラップは必聴。攻めの姿勢を崩さないスタイルに感銘。

第16位 櫻坂46 「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」

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欅坂46から改名した櫻坂46、改名後1stシングル「Nobody's fault」カップリング曲。作詞は秋元康、作曲はSoichiroKとNozomu.S。恋人ができ変化した心の内を綴った、アニソン調のナンバー。欅坂46時代の内省的な「僕」から、恋愛に浮つく「私」に変化。ほぼユニゾンという構成からアイドルの身体性が感じづらかったが、平手友梨奈という象徴的存在が去ったからか、この楽曲では代替可能な存在であることの儚さが顕著に。

第15位 ゆっきゅん「DIVA ME」

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電影と少年CQのゆっきゅん掲げる「DIVA Project」、1stシングル。作詞はゆっきゅん、作曲は幕須介人。自己肯定感爆上げのダンサブルなディスコチューンで、「自己実現の全国大会」などワードセンスがユニーク。女性地下アイドルシーンに在るゆっきゅんをどう受容すべきなのか、ある種の迷いというか単純に分からない部分があったけど、「藤井隆」というフィルターを通したら、何てことはないスコンと腑に落ちた。

第14位 Megu(Negicco)「So good」

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NegiccoのメンバーMegu、4枚目のシングル。作詞はアナ/OLD Jr.の大久保潤也、作曲は上田修平。キムヤスヒロプロデュースのlyrical schoolシフト。都会的なムード漂うチルでメロウなトラックの上で、Meguが優しくラップする。正直、今のリリスクは最先端のトレンドを捉えたラップクルーとして完成度が高すぎてアイドル性をあまり感じないけど、Meguくらいほころびがあると、ガチ恋勢としては胸にこみ上げるものがある。

第13位 超ときめき♡宣伝部「7月のサイダー」

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スターダストプラネット発超ときめき♡宣伝部、2ndアルバム「ときめきがすべて」収録曲。作詞作曲はサクノオクレゲ。楽曲公募企画で選ばれた、ボカロ系アレンジの切ないラブソング。イントロのシンセのリフで、グッと心掴まれる。彼女との別れとその3年後の前後編のストーリーを、韻を小気味よく踏んだ歌詞で成立させる構成力に脱帽。TikTokで「すきっ!」が累計2000万再生を記録し、今年はとき宣、飛躍の年になった。

第12位 NELN「SUMMERY」

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”NEO NERD LOVELY”NELN、配信シングル。作詞はChiori Morioka、作曲は元・蟲ふるう夜Shinnosuke Nakasone。浮遊感のあるチルなトラック、独特の質感の叙情的で内省的な歌詞、低体温で気だるい歌声に、じっとりとした夏の情景が目に浮かぶ。メンバーの卒業を経て、過剰なエモさを排除する方向性が定まったようにも感じる。もっと地下界隈の外側に波及しても良さそうだが、その障壁は厄介なNELNおじさんか。

第11位 木下百花「えっちなこと」

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NMB48のシンガーソングライター木下百花、配信シングル。作詞作曲は木下百花NONA REEVES奥田健介サウンドプロデュースした、多幸感溢れる胸キュンファンクチューン。扇情的なタイトルだが、歌詞はむしろ独白めいており繊細。首元に蜘蛛のタトゥーを入れたパンキッシュな木下が、黒髪ロングのブリブリアイドル衣装に身を包むと、内に秘めた毒っ気が異様に際立つ。おそらく両面、内包しているのだろうと。

第10位 佐々木喫茶「恋のロケットランチャー(feat.頓知気さきな)」

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レコライド佐々木喫茶フィーチャリングシリーズ第5弾で、ボーカルにfemme fatale頓痴気さきなを起用。作詞作曲は佐々木喫茶。80年代アニメのエンディングテーマを思わせる、ゆるふわエレポップ。喫茶印のレトロでキュートなシンセサウンドと、頓痴気のヘタウマな歌唱が上手くシンクロ。「にゃんにゃんってしたり」「ばいびーダーリン」と、いかにもなワードを多用。MVも含め世界観の徹底っぷりは、ゆるふわではない。

第9位 きのホ。「観月京」

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漫画家うすた京介による2.5次元アイドルきのホ。、1stアルバム「きのうまではポジティブでした!」収録曲。作詞作曲はハンサムケンヤ。地元京都を意識し、地名で語感踏みした歌詞や和テイストのメロディを前面に打ち出したドラマティックなギターロックで、将来への不安や期待が色濃く反映。地元ミュージシャンがアイドルを手掛け逆襲をはかる構図が、2013年頃のローカルアイドルブームを想起させる。

第8位 ねもぺろ from でんぱ組.inc「ファーストキッスは竜人くん♡ feat. 清 竜人

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鹿目凛根本凪によるねもぺろ from でんぱ組.incでんぱ組.inc「衝動的S/K/S/D」収録曲。作詞作曲は清竜人。もしも一夫多妻制アイドル清竜人25が、2021年まで続いていたら。ファンキーかつキャッチーなポップチューンで、竜人のソウルフルな歌唱が女性ボーカルと絡み、抜群にセクシー。おっぱい2人にファーストキスをせがませるというザ・職権乱用。音楽の才能あれば、何をやっても許されると思ってるのか。バカパク。

第7位 開歌-かいか-「Secret Summer」

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ジ・ズー所属開歌-かいか-、配信シングル。作詞はポップしなないでのかわむら、作曲はポップしなないで。爽やかな夏をテーマに、独特のリズムと耳に残るリフが印象的なトラックに放たれる4人のキュートなラップは、メンバーの等身大の素顔が垣間見れる。美しいコーラスへの過剰な執着は、事務所の先輩だった初期sora tob sakanaの変態的アプローチを彷彿。百岡古宵の卒業後も着実に進化している。

第6位 PIGGS「VISITOR」

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プー・ルイ率いるPIGGS、2ndシングル。作詞作曲はRyan.B。BiS御用達のサビでつんのめるエモいロックに、BILLIE IDLEのニューウェーブの要素もあり、さながらプー・ルイの棚卸し総決算セールといったところ。世界観はまさにB級ホラー。「顔隠すこの世界で 瞳だけは通じ合うよ」はコロナ禍ならでは。一癖も二癖もあるメンバーを引き連れ、破滅に向かってひた走るプー・ルイを見ると、遺伝子レベルでエモくなる。

第5位 ばってん少女隊「わたし、恋始めたってよ!」

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九州を拠点に活動するばってん少女隊、エムカード及び配信シングル。作詞作曲はASPARAGUS渡邊忍。ミニマムなドラムンベースを、アイドルテクノポップとしての再解釈。オートチューンで加工された無機質なラップと、淡い恋を紡ぐアイドルの身体性との絶妙なバランスで成立させた。「OiSa」で捉えた高揚感を、さらに先鋭化にした一曲。スターダストプラネット、恐るべし。

第4位 絵恋ちゃん「ゑまにねがいを」

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”カリスマ”絵恋ちゃん、配信シングル。作詞はアーバンギャルドの松永天馬と絵恋ちゃん、作曲は松永天馬。全盛期ニコニコ動画電波ソングを彷彿とさせる、世の負け犬に捧げた鎮魂歌。俺たちにとって真にリアルなセカイ系だ。我が身に降りかかるあらゆる矛盾や理不尽は、ぜんぶぜんぶ世界のせい。俺たちがどれだけ落ちても、いつでも絵恋ちゃんは地底現場で受け止めてくれる。その包容力はまさにみんなのママ。

第3位 フィロソフィーのダンス「テレフォニズム」

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加茂啓太郎プロデュースのフィロソフィーのダンス、メジャー2ndシングル「カップラーメン・プログラム」カップリング曲。作詞作曲はSHOW。男性からの電話を待つ乙女心を歌った80sシティポップ。メインボーカルの2人の歌声に個人的にはあまりアイドル性を感じず、これまで当ランキングで上位に格付けしてこなかったが、今回は十束のアンニュイな声質を活かした歌声がシナジーを起こし、アイドル楽曲として見事に昇華。

第2位 fishbowl「深海」

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静岡を拠点に活動するfishbowl、1stシングル。作詞作曲はヤマモトショウ。まだ何者でもない6人が歌う歌詞は、妄想と疑問に満ちている。緻密なアレンジと独特なリズムで、思春期ならではのアンバランスさを描写。サビは2段階になっていて、後半初めてユニゾンに。メンバーのスキルは、ヤマモトがこれまで手掛けてきたアイドルの中で圧倒的に低い。ただそのギャップにあらゆる可能性を感じざる得ない。

第1位 AKB48「根も葉もRumor」

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AKB48、58枚目のシングル。作詞は秋元康、作曲は浦島健太とH.Shing。現在のアイドルブームの起点は間違いなくAKB48だろう。握手券や投票券をCDに封入し、オリコンランキングをハックするAKB商法で、一躍スターダムに。選抜総選挙や大組閣、じゃんけん大会といったカンフル剤で、「会いに行けるアイドル」はメディアで見ない日はなかった。しかし、そんなブームは今は昔、地上波の番組はすべて終了し、ファンクラブも閉鎖へ。知名度のあるメンバーはほぼ皆無。坂道グループに全方位で負け、最後の灯火は消えつつあるのは明らか。しかし、それでも踊らずにはいられないのがアイドルだ。そう、アイドルは職業の名前ではない。生き様だ。1年半ぶりにリリースされ、支店グループが参加しない本店選抜メンバーにより構成されたこの楽曲は、AKB48の凋落のきっかけともなったRumor(噂)、つまりスキャンダルを巡る過去を総括しており、そんなカルマを一手に引き受けた現在のメンバーの姿が歌われている。はっきり言ってこの楽曲、AKB48往年の「糞曲」である。ただ、この糞メロディの一音一音、糞歌詞の一言一句から、この糞路線で生を全うするという腹のくくり方が伝わってくるのだ。そこからはいわゆる「いい曲」を歌って坂道グループに擦り寄ろうという意志は、微塵も感じられない。これは人生「する」か「しない」かというその分かれ道で、「する」という方を選んだ、勇気あるアイドルの物語なのだ。ゴングが鳴ったときにリングの上で踊っていられたら、自分がただのゴロツキじゃないことを初めて証明できる。そういうレベルの闘いなのだ。現状を鑑みるに、AKB48の未来は決して明るいとは言えないだろう。むしろ、線香花火が落ちる直前の最後の煌めきのようにも見える。諸悪の根源こと秋元康AKB48全盛期に「売れないくなっていく過程まで楽しんでほしい」と発言をしていた。それなら、エンドロールが流れて、幕が降りるまで見届けよう。