イベント収容人数制限などが撤廃され、復調の兆しの見えた2023年のアイドル。8年にわたりカルチャーを牽引してきたBiSHが、東京ドームでのライブでその活動に終止符を打った。地下から這い上がったグループとして、最も成功を収めた。また、FRUITS ZIPPERが日本レコード大賞 最優秀新人賞を獲得するなど新たな第三極も台頭。キラキラアイドルの活躍が目覚ましい一方、楽曲派アイドルは壊滅状態。アイドル勢力図入り乱れる中、多彩な楽曲が誕生。ということで、本家「アイドル楽曲大賞」をベースに、2022年12月1日〜2023年11月30日リリースされたアイドル楽曲のベスト30を私の独断と偏見で選出し、ランキング付けした。
第30位 Negicco「お久しぶりです・お元気ですか」
第29位 うさぎのみみっく!!「アンジュのジュネーズ」
第28位 airattic「閃光」
第27位 タイトル未定「栞」
第26位 悪魔のキッス「カスタムラブドール」
第25位 ばってん少女隊「あんたがたどこさ〜甘口しょうゆ仕立て〜」
第24位 fancylabo FANCYLABO「Flash Light」
第23位 NEW POLARIS「アイドリング・ストップ」
第22位 きゅるりんってしてみて「ツインテールは20歳まで♡」
第21位 ねおち「音と堕ちて」
第20位 Ringwanderung「Lily」
第19位 PANDAMIC「大人になったら」
第18位 THE ORGANICS「ドープトーキョー」
第17位 NUANCE「コロニアルスタイル」
第16位 内山結愛「狂う」
第15位 HiiT FACTORY「I.C.Q. feat.MOTSU」
第14位 FAREWELL, MY L.u.v「stargazing feat. Minami Yamazoe」
第13位 月刊PAM「息をする旅」
第12位 文坂なの「C級noロマンティック」
第11位 FRUITS ZIPPER「キミコイ」
第10位 寺嶋由芙「恋の後味」
第9位 RAY「フロンティア」
第8位 LiVS「EGO」
第7位 宮野弦士「Starry Rain (feat.HALLCA)」
第6位 fishbowl「尻尾」
第5位 CYNHN「楽の上塗り」
「青い未完のヴォーカルユニット」CYNHN、11枚目のシングル。作詞作曲は渡辺翔。独特なリズムのジャジーなピアノが弾ける、開放的な鍵盤ロック。サビがクラップ主体のソロから、全員がユニゾンで歌い出す展開に感涙。あらゆる人の心に寄り添った叙情的で優しいメッセージを、それぞれ異なった魅力のある歌声で届ける。ディアステージ所属ながら、アイドルを名乗っていない気概が感じられる。
第4位 きのホ。「DANGER!」
京都を拠点に活動するきのホ。、2ndフルアルバム「リビングデッド」の先行配信シングル。作詞作曲はハンサムケンヤ。和のテイストが強い刹那なロックチューン。語感重視で不条理な歌詞が展開されるが、サビ終わりの「私にとってあなたもそうだよ」という不器用な愛情表現で心掴まれる。漫画家運営とセンター的がグループを去り、有無を言わさぬ気迫が増幅。正解をステージで証明した一曲。
第3位 Mi-II「もう山には戻れない」
3776研修生チームから独立し結成された富士山麓アイドルMi-II、1stアルバム「害獣アイドル」収録曲。作詞作曲は石田彰。元々静岡で活動し、現在は東京でセルフプロデュースしているメンバーを、山から下りてきた「害獣」と捉える。ノイジーな轟音ギターと鳴き声を模したサウンドの中、あくまでポップに舞う。3776カバーを歌って8年越しのオリジナルソング。よくぞ石田彰を口説いた。みゆゆん偉い!
第2位 lyrical school「DRIVE ME CRAZY」
ラップアイドルのパイオニアlyrical school、新体制としての1stEP「NEW WORLD e.p.」の先行配信シングル。作詞は大久保潤也、作曲は上田修平。The Weeknd「Blinding Lights」オマージュの疾走感溢れるシンセウェーブに、男性チームメインで爽やかにライミング。あくまでアイドルグループであった前体制から、男女混成の青春ラップクルーになり憑き物が落ちたのか(受け手側の問題)、むしろアイドル性が向上。
第1位 AIR-CON BOOM BOOM ONESAN「ソー」
みんなのこどもちゃんや元SAKA-SAMAの水野たまご(現・山本栞)、瀬戸まーなを輩出したアイドル虎の穴「おうちカフェ」に籍を置き、神保町よしもと漫才劇場所属のお笑い芸人として活動するAIR-CON BOOM BOOM ONESAN、1stシングル(1st EP「AIR-CON BOOM BOOM ONESAN E.P」に続く第二弾)。作詞はAIR-CON BOOM BOOM ONESAN、作曲は元電気グルーヴのCMJK。James Chance and the Contortions「Contort Yourself」インスパイア。前衛的なパンクジャズの音の上を、エキセントリックなシャウトとフリーキーなサックスが駆け巡る。もう12年も続けている当ランキング。今年も色んなグループの現場に足を運び楽曲を聴いて、割りとこだわって順位を決めてるが、どれを1位にしてもしっくりこない。決してレベルが低いわけではないけれど、その年の王者とするふさわしさや適格の感覚が自分の臨界点を超えてこないと頭を悩ませていた。そんな時、突如現れたエアコンぶんぶんお姉さん。衝撃でしたね。NewJeansに対抗できるのは、こんねきだけ。AIR-CON BOOM BOOM ONESANが制したので、今年の俺のアイドル楽曲大賞はノーコンテストです。