7と1/2階でシャングリラ

ラ・ウスラ・デラ・ギポン・デ・リルカ・ニョキニョキ。(ニョキニョキ。)

俺のアイドル楽曲大賞2017

2017年、アイドルは厳しい局面に立っている。欅坂46がメディアを騒がせ、BiSHが「ミュージックステーション」出演を果たした。しかし、中堅層のグループはこぞって解散。特に生ハムと焼きうどんの失敗は、大きな遺恨を残した。メジャーにおいてもAKB48から渡辺麻友が卒業し、かつての神7が全員去るなど、一つの節目の年であったと言えるかもしれない。そんな中、楽曲においては既存の作家に加え、新たな才能が続々と開花。ということで、本家「アイドル楽曲大賞」をベースに、2016年12月1日〜2017年11月30日リリースされたアイドル楽曲のベスト30を私の独断と偏見で選出し、ランキング付けした。

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ハロプロ楽曲に関しては別枠にてレビュー。

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第30位 Task have fun「3WD」

今年「見つかった」と言われる3人組グループTask have fun、4枚目のシングル。作詞作曲はGUCCHO。ホーンセクションが鳴り響くブラスロック。メンバー3人が三輪駆動(3WD)となり、アイドル界の険しい道のりを突き進む決意を歌った歌詞は、アイドル戦国時代からピースフルな雰囲気に変わったアイドル界に一石投じた。振りコピ必至な激しくもキャッチーなダンスは、夏フェスで大きく映えた。

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第29位 tipToe.「夢日和」

「みんなで青春しませんか?」がコンセプトの等身大センチメンタルアイドルグルー プtipToe.、1stEP「firstLetter.」収録曲。作詞作曲はボカロPとして知られる瀬名航。キラキラした甘酸っぱい青春ポップス。無限大に広がっている少女の可能性が込められた。力まない拙い歌い方とチグハグなダンスが、爽やかで穢のない生身のメンバー自身を描写。

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第28位 フィロソフィーのダンス「ダンス・ファウンダー」

プロデューサー加茂啓太郎が手がけるフィロソフィーのダンス、2ndアルバム「ザ・ファウンダー」リード曲。作詞はヤマモトショウ、作曲は宮野弦士。「ファウンダー」とは創業者の意。新しいダンスを提示するグルーヴィーでゴージャスなディスコファンク。力強くソウルフルな歌声の日向ハルはもちろん、個性が輝く4人の歌声が心地よく響く。

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第27位 MIGMA SHELTER「Amazing Glow」

There There Theresなどが所属するAqbiRecのMIGMA SHELTER、2mdシングル。作詞は空五倍子ことプロデューサーの鬼才田中紘治、作曲はタニヤマヒロアキ。どことなくダルさを覚える浮遊感のあるサイケデリックトランス。1stシングルに比べ、比較的ポップに。初見でも身体が動き出す。また一つアイドル楽曲の枠を広げた。

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第26位 amiinA「Callin'」

唯一無二の世界観を作り出すガールズユニットamiinA、ミニアルバム「Valkyrie」収録曲。作詞は齊藤州一、作曲は藤本藍。バンジョーやバイオリンが奏でられるカントリー調のポップス。間奏ではアイルランド伝統音楽の要素もあり、まるで欧米の街中でのセッションを聴いているかのよう。牧歌的で詩的な歌詞のイメージをそのまま伝えられるのは、メンバーの穢れなくピュアなパーソナリティの賜物だろう。

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第25位 SOLEIL「Pinky Fluffy」

ボーカルそれいゆ擁するサリー久保田プロデュースのバンドSOLEIL、1stシングル。作詞はマイクロスター飯泉裕子、作曲は高浪慶太郎。勝ち気な少女の不満や欲求を歌ったオールディーズ調の60年代ポップス。甘ったるくてナチュラルにフランス語のように聴こえるそれいゆの歌声が最高。14歳だし。元ネタはアンドレア・キャロル「なみだの16才」。コーラスにはレーベルメイトの星野みちるが参加。

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第24位 MELLOW GREEN WONDER「Wonder Carnival」

PIGPLE RECORDS所属の3人組MELLOW GREEN WONDER、昨年リリースしたCD-R「2 songs」収録曲で、今年Mash Berryと共にリリースしたスプリット・アルバム「発見」に収められた。作詞作曲は三嶋道人。西洋のお祭りを思わせるドラマティックなギターポップ。楽しい祭りはたった一晩しか開催されない。付きまとう刹那的で儚いイメージは、アイドルのメタファーとなっている。

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第23位 WHY@DOLL「キミはSteady」

北海道札幌市出身のオーガニックガールズユニットWHY@DOLL、T-Palette Recordsからリリースした2ndシングル。作詞はONIGAWARAの竹内サティフォ、作曲はONIGAWARA。アーバンで華やかなシティポップ。出会いの予感のトキメキを歌った歌詞がトレンディドラマのようでやや時代錯誤感があったが、バブリーな雰囲気のメンバーと80代テイストなアレンジの力で、スッと世界に没入できる。

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第22位 AH(嗚呼)「蒼」

滋賀の旅館の若女将と看護施設の管理職によるセルフプロデュースユニットAH(嗚呼)、2ndシングル。作詞作曲は若女将のりりかる*ことぱぉ。歌詞は性の香りが漂っていて極めて前衛的。軽快なギターリフが心地いい、ケレン味たっぷりなロックチューンで、いわゆるアイドル楽曲のそれとは全く異なる。2人の経歴が非常に気になるものの不明。アイドル不毛の地の関西に楽曲派の鉱脈を見た。

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第21位 BiS「gives」

昨年復活した元祖破天荒アイドルBiS、第2期2ndアルバム「RE:STUPiD」リードトラック。作詞は松隈ケンタとJxSxKことプロデューサーの渡辺淳之介、作曲は松隈ケンタ。松隈節炸裂の哀愁漂うエモロック。愛憎入り混じった感情で、自らの過去を歌ったこの楽曲は、曲調の含め「primal.」を思い起こさせる。この楽曲は激情的かつ刹那的で第1期を継承しているが、第2期の他の楽曲は狂気をはらんだ攻撃的なスタイルで、また違った魅力を再構築している。

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第20位 FAREWELL, MY L.u.v「7DAYS FOCUS」

東海地区アイドルイベント「アイドルバンチ」の企画から生まれたダンス&ボーカルユニットFAREWELL, MY L.u.v、1stシングル。作詞作曲はYasushi Watanabe。ポップなキッズソウルに乗った、エイベックス・アーティストアカデミー名古屋校で鍛えられたメンバーの初々しくもやや大人びた歌声が絶妙。アイドル楽曲でしかありえない化学反応が起きている。ちなみに現ハロプロ研修生児玉咲子が過去に在籍し、現在は妹の児玉律子が所属している。

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第19位 lyrical school「夏休みのBABY」

5月から新体制で再スタートを切ったHIPHOPアイドルユニットlyrical school、12枚目のシングル。作詞はアナ大久保潤也とWEEKEND泉水マサチェリー、作曲はWEEKEND泉水マサチェリー。悲壮感の全くないゴキゲンで爽快なサマーソング。畳み掛ける「夏最高」でテンションが最高潮に。細かいマイクリレーはメンバーのラップスキルがまだ発展途上のためか。誰の中にもある素敵な夏の思い出が蘇る。

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第18位 欅坂46「風に吹かれても」

サイレントマジョリティー」のデビュー以来、驚異的な躍進を見せる欅坂46、5枚目のシングル。作詞はもちろん秋元康。作曲はシライシ紗トリ。警戒で小気味よいアコースティックギターに「トゥルットゥットゥー」というフレーズが映えるファンキーなダンスナンバー。「笑わないアイドル」が時折笑顔を見せるが、黒いスーツで身を包みダイナミックにステップを踏むことで、シックな雰囲気に仕上がっている。

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第17位 転校少女歌撃団「ときめけ☆アフタースクール!」

今年1月、元GALETTe古森結衣らが加入した7人組アイドルグループ転校少女歌撃団、初の全国流通シングル「この世界にサヨナラして」のカップリング曲。作詞作曲は村山☆潤。恋する女の子の気持ちを歌ったキュートなゆるふわラップは、初期のlyrical schoolを彷彿とさせる。化物語恋愛サーキュレーション」のようなアニメソングの要素も。イントロはマイケル・ジャクソン「Rock With You」。

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第16位 BiSH「My landscape」

「楽器を持たないパンクバンド」を標榜するBiSH、2ndアルバム「THE GUERRiLLA BiSH」リードトラック。作詞はJxSxKことプロデューサーの渡辺淳之介、作曲は松隈ケンタ。ストリングスの効いた、力強いアンセム感満載のシンフォニック・ロック。アイナ・ジ・エンドの唯一無二のハスキーな歌声に注目が集まりがちだが、アユニ・Dの「オーケストラ」頃とは打って変わって逞しくなった、叫びのような歌声が必聴。

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第15位 RHYMEBERRY「ちょっとやってみただけ」

アイドルラップの草分け的グループRHYMEBERRY、アルバム「SERIES 1」収録曲。作詞作曲はP.O.Pさいとうりょうじ。本格的なバンドサウンドのミクチャーロック。MC MIRIのアイドルレベルを凌駕するスキルフルな高速ラップが、骨太なトラックの中映える。DJ OMOCHIの独特の声質のラップがスパイスに。個人的には2000年頃活躍したMissile girl scootが浮かんだ。E TICKET PRODUCTIONが離れて以降、暗中模索していた印象のあるライムベリーだが、新たな境地を開いた一曲。

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第14位 RECOJO「アヴァンギャルドは輪廻する」

青春アミーゴ」「抱いてセニョリータ」などの作詞を手がけるzoppプロデュースのアイドルグループRECOJO、YouTube投稿曲。作詞はzopp、作曲は木村篤史。だらしない男性に恋い焦がれる思いを歌った洗練された80年代ディスコ。「ダダこねてダダイズム キュンとしちゃうキュビズム シュールなシュルレアリズム」と、タイトルの「アヴァンギャルド」から連想される言葉遊びが心地よい。

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第13位 吉田凜音「パーティーアップ

カリスマ性溢れる歌声が魅力の吉田凜音、ミニアルバム「STAY FOOL!!」収録曲。作詞作曲はインディーズ時代から「りんねらっぷ」として楽曲を提供してきたE TICKET PRODUCTION。Eチケの攻撃的なトラックと、凜音のパワフルなラップが見事にマッチ。東京で揉まれながら力強く生きている日々を歌ったリリックには、ファッションやショッピングなど多彩な情報が詰め込まれている。disが効いた「ミスするなら端からでしゃばんな」からの4小節は、ここ最近のフリースタイルバトルブームの影響か。

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第12位 東京女子流「illusion」

ガールズ・ボーカル&ダンスグループ東京女子流、2015年に7インチシングルとしてリリースされ、今年リリースされた23枚目のシングル「water lily ~睡蓮~」、ミニアルバム「PERIOD. BEST ~オトナニナルンダカラ~」に収録された。作詞は庄司芽生と坂田麻美、作曲は佐川紘樹庄司芽生のメインボーカル曲。繰り返されるサビが微妙に歌詞が変わり、次第に「あなた」への失恋を確信。オートチューン加工された庄司の歌声が、松井寛御大のゴージャスなアレンジに馴染む。東京女子流は今年、アーティスト宣言を事実上撤回したため、当ランキングに再び掲載する。

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第11位 コバルトブルーは白昼夢「ロールプレイング」

元黒猫の憂鬱のくり子有する男女混合アイドルユニットコバルトブルーは白昼夢、1stシングル。作曲はメンバーのarrival art坪本伸作。ファンキーでどことなく懐かしい曲調、絡みつくようなセクシーな坪本の歌声と対照的な、くり子の気だるい歌声が印象的。曲中で繰り返される「ねえねえ聞かせて」は主体性が歌い手にあり(「早く言って」だと主体性が他人)、聴いている人に鋭くもそっと問いかける。

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第10位 TOKYO喫茶「ハリーアップトーキョー」

スカパーダンスチャンネルのオーディション番組「舞勇伝」から誕生した6人組グループTOKYO喫茶、会場限定シングル。作詞作曲は佐々木喫茶。疾走感のあるグルーヴィーなエレポップに、攻撃的なストリングスが絡み合って至高。喫茶のまた新しい一面に感銘を受けた。土曜の夜を歌った大人な歌詞だが、10代のメンバーが歌い爽やかな仕上がりに。MVでは元プレイングマネージャーの白井萌花がフィーチャーされ、大人でバブリーな魅力を炸裂させている。

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第9位 CY8ER「手と手」

BPM15Qから改名した「世界を騒がすサイバーテロアイドル」を標榜する元BiS・アキシブprojectの苺りなはむ率いる6人組グループCY8ER、2ndシングル曲。作詞はDSK、苺りなはむ、作曲はYunomi。Yunomiらしい和テイストなアレンジは鳴りを潜め、キックとベースが印象的なエモいフューチャーベースに仕上がった。テーマである仲間との絆を「手と手」という三文字に込めたタイトルが秀逸。

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第8位 sora tob sakana「夜間飛行」

平均年齢15歳のポストロックアイドルsora tob sakana、ミニアルバム「cocoon ep」収録曲。作詞作曲はハイスイノナサ照井順政。壮大でノスタルジックなマスロック。観客を巻き込んでの合唱やダンスもあり、オサカナのアンセムとなった。同アルバムの「ribbon」で乗り込んだ銀河鉄道は、音の洪水を突っ切り走り続ける。どことなく刹那的で退廃的な香りがするのは、メンバーが大人になり、もうすぐ終点が近いことを示唆しているのではないか。

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第7位 ヤなことそっとミュート「Lily」

BELLRING少女ハートの楽曲制作を手がけるクリムゾン印刷によるオルタナティヴ・アイドル・グループヤなことそっとミュート、昨年リリースした2ndシングル「Sealing EP」収録曲で、今年1stアルバム「BUBBLE」に収められた。作詞は畠山凌雅、作曲はNori Lockhart。グランジの香りのする重厚なバンドサウンドに清純な歌声を乗せたのは、ある種の発明。繰り返す転調にどんどんヤなミューのエモい世界観に引きずりこまれる。

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第6位 アイドルネッサンス「前髪」

古今の楽曲を歌とダンスで表現する「名曲ルネッサンス」をテーマに活動するアイドルネッサンス、ミニアルバム「前髪がゆれる」収録曲。作詞作曲はBase Ball Bear小出祐介。思春期特有の心の不安定さを、決まらない前髪に捉えたノスタルジー溢れるミディアムバラード。「最後のシュート」「歯の矯正」など、具体的で限定的な内容でありながら、時代が過ぎても変わらない誰もが経験した「変わり続ける」という青春の一コマに心がえぐられる。メンバーのまっすぐな歌声がよりその世界観を倍増させる。

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第5位 マジペパ「LOVE-KISS-HUG-HUG」

吉田凜音がボーカルを務めるNONA REEVES西寺郷太・□□□村田シゲ共同プロデュース7人編成バンドマジペパ、1stアルバム「テル・ディスコ」収録曲。作詞は西寺郷太、作曲はギターの山形知也。片思いの揺れ動く心を歌った、アーバンでグルーヴィーなミディアムファンク。サビの「すっとぼけるほど君に夢中なの」から始まる少女と大人の間にいる凜音の叫びのような歌声が深く深く心に強く刺さる。

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第4位 Negicco「愛は光」

新潟を拠点として活動するNegicco、ベストアルバム「Negicco 2011〜2017 -BEST- 2」リード曲。作詞作曲はKIRINJI堀込高樹。来年結成15周年を迎えるメンバーの美しいハーモニーが堪能できるミドルバラード。フロアは小さな銀河であり、サイリウムを振るファンは太陽、照らされるNegiccoは月。未だかつて、こんなにアイドルがファンに向けて愛を歌ったことがあっただろうか。ドルヲタ冥利に尽きる。感涙。

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第3位 うさぎのみみっく!!「シンメトリック」 

地球を征服するため月からやってきた福岡を拠点に活動する4人組アイドルうさぎのみみっく!!、りんご音楽祭コンピレーション・アルバムに収録。作詞作曲はInagi。ふしぎの国のアリスのような可愛いメルヘンチックな世界観で統一された中、緻密な楽曲構成で目まぐるしく展開が変わり、8分弱の間、魅了され続ける。現在2名が脱退し活動休止中。2018年のアイドル界のダークホースになること間違いないだろう。

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第2位 3776「私のものです!《静岡版》《山梨版》」

富士山ご当地アイドル3776、リンクアイドルとしての1stEP「公開実験」収録曲。作詞作曲はプロデューサーの石田彰。井出ちよのソロ体制として活動してきた3776に、元Peach sugar snowの広瀬愛菜が加入し新体制に。「静岡版」「山梨版」としてリリースされた同タイトルの楽曲は別のトラックにも関わらず、同時に再生すると一曲になるという実験的な仕様になっている。同曲は、静岡県山梨県にまたがる富士山を2人が取り合う内容になっていて、単体で聴いても同時に聴いても、意味が完全に通っている。「LINKモード」と称されたライブでは、一定距離離れた2つのステージで同時に音声を流し、ライブを行う。観客は2つのステージを行き来する。こんなアバンギャルドなことをしているのは世界で3776だけ。むしろ、現代アートの一つの到達点と言えるだろう。ハイカーが何と言おうが、LINKモード全肯定である。

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第1位 私立恵比寿中学 「感情電車」

スターダストプロモーションの7人組アイドルグループ私立恵比寿中学、4枚目のアルバム「エビグラシー」収録曲。作詞作曲はたむらぱんこと田村歩美。リズミカルで明るいエビ中らしいポップスと思いきや、全体を通して聴くと印象が正反対。リズム隊のみのAメロから始まり、エモーションを駆り立てるBメロ。「はる・なつ・あき・ふゆ」「あさ・ひる・よる」と続く和歌のような言葉選びが美しい。そしてサビで一気に盛り上がる。まさにタイトル通り感情が走り出すような一曲に仕上がった。単なるいちアイドルヲタクの年間1位を、僭越ながら天国の松野莉奈に捧ぐ。

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