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俺のハロプロ楽曲大賞'21

ついにモーニング娘。佐藤優樹ハロー!プロジェクトを後にした。天真爛漫な問題児から、不思議な魅力を纏ったトリックスターに変貌し、ハロプロの人気を牽引。日本武道館を最後に、OCHA NORMAなど次世代へたすきを繋いだ。またこの1年は、映画「あの頃。」や書籍「証言モーヲタ」など、ハロプロの伝統を振り返る機会も多かった。そんな中、ハロプロはもちろんOGの音楽活動も活発になり、新たな楽曲が誕生。ということで、本家「ハロプロ楽曲大賞」の旧ルールをベースに2020年12月1日〜2021年11月30日リリースされたハロプロ及びハロプロ関連の楽曲(YU-M、他事務所所属を含む)のベスト15を私の独断と偏見で選出し、ランキング付けした。  

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※アイドル楽曲に関しては別枠にてレビュー。

anztolchock.hatenablog.com

第15位 小片リサ「真夜中のドア〜stay with me」

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つばきファクトリー小片リサ、復帰第2弾となるYouTube投稿曲で、カバーアルバム「bon voyage!〜risa covers〜」収録予定。松原みきの名曲のカバー。作詞は三浦徳子、作曲は林哲司。海外でヒット中のシティポップのビートに乗った、清らかで透明感のある歌声の裏に、底しれぬ闇が見え隠れ。前代未聞のスキャンダルで地に落ち汚れた歌姫が、皮肉なことに表現力を増して戻ってきた。

第14位 モーニング娘。'20 「純情エビデンス

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今年、3年4ヶ月振りにオリジナルアルバムをリリースしたモーニング娘。'20、69枚目のシングル。作詞作曲はつんく♂平田祥一郎アレンジの疾走感溢れるキラキラEDMで、伝統あるグループの未来を紡ぐ信念を歌っている。その秘めた覚悟を「妹はまだ知らないけど」に込めるのが、いかにもつんく♂らしい。ソロパートは割り振られていないものの、15期の目覚ましい成長が垣間見れる。

第13位 アンジュルム「SHAKA SHAKA TO LOVE」

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川村文乃が女性初の「1級マグロ解体師」なったことで話題のアンジュルム、配信シングル。作詞は児玉雨子、作曲は星部ショウ。サンスター「オーラツー」コラボ曲。タイアップソングとして商品名や歯磨き関連キーワードを巧みに盛り込み、ポジティブなメッセージを込めたポップチューンに仕上げた雨子先生の手腕が光る。中盤のエネルギッシュでキュートなラップも必聴。

第12位 BEYOOOOONDS「こんなハズジャナカッター!」

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「あの頃。」松浦亜弥役の好演光る山崎夢羽属するBEYOOOOONDS、2ndシングル。作詞は星部ショウと野沢トオル、作曲は星部ショウ。我が道を邁進するメンバーの本音を自虐的に描いたBEYOOOOONDS版「なんてたってアイドル」。お馴染みの寸劇も健在で、歌詞にハロプロ内外の先輩グループの名前を盛り込む遊び心も。1stシングルに登場した眼鏡の男の子やサヤー隊長も再び。とはいえ、メタネタをやるには少々早すぎか。

第11位 つばきファクトリー「マサユメ」

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今年、4人の新メンバーが加入したつばきファクトリー、2ndアルバム「2nd STEP」収録曲。作詞は児玉雨子、作曲は中島卓偉。うねるベースが感情を掻き立てる、卓偉のコーラスが映えるファンクロック。今年、日本武道館で初の単独公演を開催。最後に披露された同曲。浅倉の「ラスト、マサユメー!」の煽りはダブルミーニングになってて胸が熱くなった。ただ歌詞は、彼氏の浮気相手に遭遇する修羅場な展開という。

第10位 鈴木愛理「rescue」

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℃-ute鈴木愛理、配信シングル。作詞はAmber'sの豊島こうき、作曲はAmber's。軽快なブラスが心地いい、レトロな雰囲気のポップチューン。「あなたのせいで愛が密集 I MISS YOU」のパンチラインでほぼほぼ勝利。小細工なしで胸を打つ伸びやかな歌声は、流石「ハロプロの最高傑作」の異名を取るだけある。「真夜中のメリーゴーランド」に続いてのAmber'sの提供曲。このコンビでもっと聴きたい。

第9位 Juice=Juice「DOWN TOWN」

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今年、3人の新メンバーが加入したJuice=Juice、14枚目のシングル。作詞は伊藤銀次、作曲は山下達郎シュガー・ベイブの名曲をカバー。軽快でゴキゲンなシンセサウンドが土曜の夜の気分をあげるNEOシティポップ。間奏に組み込まれた井上のボイパは、こぶし魂を継承する決意に満ちている。リリース直前に宮本が卒業、高木が脱退したが、飛車角抜いても戦えることを、メンバー自ら証明してみせた。

第8位 アンジュルム「愛されルート A or B?」

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アンジュルム、29枚目のシングル。作詞は山崎あおい、作曲は山崎真吾。うねるベースと図太いサックスが主導する、シャッフルビートのオトナ可愛い三拍子ジャズ歌謡。本心より外面がいい選択が求められる世相を一刀両断。現在、”あざカワ”でブレイク中の上國料萌衣を始めとしたメンバーの本当の胸の内を歌っているようにも捉えられる。山崎の女性ならではの視点の歌詞には、毎度毎度唸らされる。

第7位 CHICA#TETSU「二年前の横浜駅西口」

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BEYOOOOONDSのメンバーからなる4人組CHICA#TETSU、BEYOOOOONDSの2ndシングル「激辛LOVE」通常盤C収録曲。作詞は児玉雨子、作曲は星部ショウ。清水信之がアレンジを務める駅名シリーズ第3弾。工事の終わらない横浜駅西口を舞台に、2年前の淡い片思いを歌ったシティポップ歌謡。メンバーのキュートな歌声が、レトロな音色にマッチ。ユニットならではの振り切った独自路線に、意外な鉱脈。

第6位 鞘師里保「Find Me Out」

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5年半振りに活動再開した元モーニング娘。鞘師里保、1st EP「DAYBREAK」収録曲。作詞は鞘師里保と宮野弦士。作曲は宮野弦士。詞先で作られた楽曲であり、自らを縛ってきた固定観念から一歩踏み出す決意が実直に描かれている。グルーヴィーなベースが響くアシッドジャズ調のアーバンなシティポップに乗った、娘。時代より少しハスキーになった歌声に心動かされる。もう一度ステージに上がる決断をしてくれてありがとう。

第5位 ハロプロ研修生「きみの登場」

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今年、11人の昇格者を輩出したハロプロ研修生、3rdアルバム「3-STARS」収録曲。作詞作曲は中島卓偉。事務所が五反田に移転しても赤羽橋ファンクは健在。軽快なホーンセクションが鳴り響く応援ソングで、転調やフェイクなど卓偉の仕掛けるギミックが冴え渡る。「きみの登場を世界は待ちわびてる」というストレートなメッセージを、何のてらいもなく歌えるのが研修生の特権。「ハロドリ。」の影響か、異様に感情移入。

第4位 アップアップガールズ(2)「ぱーれぇ~」

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アップアップガールズ(仮)の妹分ユニットアップアップガールズ(2)、10枚目のシングル。作詞作曲はきなみうみ。eill「MAKUAKE」を参照したと思われる、多幸感みなぎるディスコ調のキラキラパーティーソング。どこか切ない雰囲気が漂っており、コロナ禍で失われた密な宴を想起。サビの歌詞は相応する英語があるか不明な心地よいリズムの言葉で埋められた。2番Aメロの吉川茉優の躍動感のある歌声に、思わず息を呑む。

第3位 モーニング娘。'20「ギューされたいだけなのに」 

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モーニング娘。'20、69枚目のシングル。作詞作曲はつんく♂。やはりつんく♂の書く歌詞の魅力は、極上のライムと比喩表現だ。彼氏へ不満を募らせるメンヘラチックな彼女の気持ちを代弁した歌詞は「万年孤独 愛情不足 ウサギちゃんシンドローム」。特に「街の真ん中 泣いたろか」に至る一連のパンチラインは最高。当時15歳の山﨑愛生が、ゴリゴリのEDMに乗せて「女って単純」と言い捨てる。

第2位 和田彩花「mama」

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スマイレージ/アンジュルム和田彩花、1stアルバム「私的礼讃」収録曲。作詞は和田彩花、作曲はRyuichi Kawasaki。無機質な力強いデジタルサウンドの中、凛とした甘い歌声で優しく包み込む。母親を今を生きる1人の女性、「個」の存在として捉えられるようになった変化を綴った歌詞は、ジェンダー・フリーを推し進める和田の思想が色濃く反映。反抗期真っ只中、親不孝最前線の身としてはギョッとさせられる内容。

第1位 つばきファクトリー「涙のヒロイン降板劇」

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つばきファクトリー、8枚目のシングル。作詞は山崎あおい、作曲はShusuiとJosef Melin。軽妙なカッティングギターのリフがループするアシッドジャズ調のナンバーで、おしゃれでクールな雰囲気はこれまでの赤羽橋ファンクとは一線を画す。それはまさに、つばき復権の前触れを思わせる。2015年に結成したつばきは、順調なスタートを切った同年結成のこぶしファクトリーに辛酸を嘗め、2017年には日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞するなど着実に成果を挙げたものの、個性派揃いのハロプロの中で清楚で大人しい印象のつばきは埋もれた存在になり、後輩のBEYOOOOONDSにせっつかれる始末。初のホールツアーが持ち上がったのは、結成から5年が経ってからだった(新型コロナウイルスにより中止に)。特に近年は、メンバーの怪我とスキャンダルに見舞われ、大きなダメージとなった。彼女たち自身、思うように活動の出来ない自らの運命を恨んだことがあったに違いない。こぶしの解散も他人事ではなかっただろう。そんなつばきに今年、転機が訪れる。4人の新メンバーが加わり、さらに日本武道館での単独公演を完遂させたのだ。「涙のヒロイン降りる宣言 惨めな役は似合わない 癪(しゃく)なスポットライト躱(かわ)して つかもうぜ華やかなNextストーリー」。この楽曲のストーリーは、逆襲の狼煙を上げた今のつばきにリンクする。浅倉樹々はMCで「今日大きな2つの試練とともに、つばきファクトリーはまたひとつ前に進めた」と述べた。この2つは新型コロナウイルス小片リサの脱退だろう。それらを乗り越えて、日本武道館のステージに立ち、この楽曲を歌ったのだ。岸本のフェイクは完成度が高くお見事。結成6周年を迎え、円熟期を迎えるオリジナルメンバーのパフォーマンスは頼もしさを感じる。歌唱力に定評のある豫風瑠乃ら新メンバーと、今後どのような化学反応を起こすのか楽しみだ。つばきのこれからに期待せずにはいられない。