7と1/2階でシャングリラ

ラ・ウスラ・デラ・ギポン・デ・リルカ・ニョキニョキ。(ニョキニョキ。)

俺のアイドル楽曲大賞2016

2016年、アイドルは正念場を迎えている。BABYMETALのアルバムが米ビルボードのアルバムチャートにランクインし、地上波では生ハムと焼うどんが大活躍。一見隆盛を極めているように見えるが、現場から着実に客が減り、次々とグループが解散。話題に上がることといったら武闘派の警備員や最前のヲタク。「沸き」ばかりが注目を集め、大きな魅力だったアイドルの多様性は大きく後退しているようにも思える。しかしその影で、作曲家たちは斬新かつ秀逸な楽曲を生み出し続けている。ということで、本家「アイドル楽曲大賞」をベースに、2015年12月1日〜2016年11月30日リリースされたアイドル楽曲のベスト30を私の独断と偏見で選出し、ランキング付けした。

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ハロプロ楽曲に関しては別枠にてレビュー。

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第30位 私立恵比寿中学 「まっすぐ」

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スターダストプロモーション所属の私立恵比寿中学、10枚目のシングル。作詞作曲は天才杉山勝彦。ピュアな恋愛がテーマの壮大なバラード。ユニゾンの美しさは彼女たちの努力と才能の賜物だろう。コミカルな楽曲も多い彼女たちだが、ストレートなラブソングも真正面から歌えることを証明。メンバーの真山りかがこの曲を、汗まみれになりながら全力で歌う様に震えた。

第29位 STEREO JAPAN「Dancing Again」

 

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EDMアイドルSTEREO JAPAN、2ndシングル。作詞はRIKU、作曲はautoclef。EDM調のアーバンなディスコファンク。踊って嫌なことを紛らわそういう歌詞は、同事務所で体制が変わることを強いられたEspeciaに向けられたものか。今年STEREO JAPANはCDリリースからの卒業を発表。誰もが疑問に感じていた、一部のファンがCDを大量に購入するという不健全なアイドル商法に初めて別れを告げた。その決断は吉と出るか、凶と出るか。その答えは神も知らないだろう。

第28位 Peach sugar snow「私キミに恋してる」

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山梨県を拠点とするウイスパーボイスアイドルPeach sugar snow、PENGUIN DISCからリリースしたミニアルバム「キミと僕のwhisper」リードトラック。作詞作曲はプロデュサーの小林清美。出会えない君への切ないラブソング。絶望的でダークな世界観のあいなソロユニットから、山口サララが加入し比較的ポップに。ただユメトコスメ長谷泰宏の上品なアレンジの端々から闇が見え隠れする。あいなは傷つき傷つけPssを卒業。サララは後継の新グループを結成する。

第27位 BELLRING少女ハート「チャッピー」

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アグレッシブでシャーマニックなライブで知られるBELLRING少女ハート、3rdアルバム「BEYOND」収録曲。作詞作曲は、今年音楽活動からの引退を宣言した後藤まりこ。ミドリを彷彿とさせるエモーショナルなポップス。ひと夏の出会いを描いたノスタルジックな楽曲で、思春期特有の刺々しい言葉の一つ一つが心に突き刺さる。12月31日をもって3人が卒業。ロック系アイドルシーンを牽引したベルハーは年内で活動休止。一つの時代の終わりを感じた。

第26位 吉田凜音「りんねラップ」

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高い歌唱力を持つ北海道出身16歳の吉田凜音、「IDOL NEWSING vol.2」の収録曲で、後に配信で音源化された。作詞作曲は、初期のライムベリーのサウンドプロデュースを務めたE TICKET PRODUCTION。Eチケ節の炸裂しているオールドスクール・ヒップホップ。吉田自身、自らの凄さを誇示する「セルフボースティング」というヒップホップ特有のカルチャーに非常にマッチしいて、バリバリな無双感のある吉田の魅力を大きく引き出している。

第25位 黒猫の憂鬱「君に花咲け!」

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破天荒なパフォーマンスで話題を集めるセルフプロデュースユニット黒猫の憂鬱、1stシングル。作詞作曲はメンバーのくり子。歪んだギターに、澄んだ旋律の単音のピアノ。神聖かまってちゃんインパイアの疾走感溢れるロックチューンを淡々と歌う。新生活への期待と不安の入り混じったこの曲は、荒削りながら繊細。黒猫の憂鬱は10月に解散。結局一度もライブを見ることが出来なかったことが悔やまれる。

第24位 里咲りさ「Little Bee」

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戸田真琴に似ているシンガーソングライター里咲りさ、1stプレスアルバム「売れるまで待てない」リードトラック。甘酸っぱく恋愛を描いたギターポップを、舌っ足らずに歌う。前作でも感じたが、やはり里咲は言葉選びが絶妙で素晴らしい。「時計の針が焦って明日を急かしてる」「はじまったばかりの季節はなんていじわるなんだ」など詩的で情景が浮かぶ。里咲は来年、Zepp DiverCity TOKYOでのワンマンという無謀なチャレンジをする。

第23位 おやすみホログラムニューロマンサー

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東京のアンダーグラウンドシーンで注目を集めるおやすみホログラム、2ndアルバム「2」の収録曲。作詞作曲はプロデューサーの小川晃一。タイトルはサイバーパンクの代名詞的作品であるウィリアム・ギブスンの同名小説から。高音シンセが宙を巡る浮遊感のあるトラックで、フロアが踊りまくるアンセムらしいが、私はダウナーな印象を受けた。元研究員現場という印象が強かったが、もっとライブを見たいと感じた1曲。

第22位 Negicco「私へ」

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結成13年目を迎えたNegicco、T-Palette Records3rdアルバム収録曲。作詞はメンバーのNao☆がファンを公言している声優の坂本真綾、作曲はサウンドプロデューサーのconnie。未来の私へ向けたメッセージソング。ピアノの旋律のみのバラードであり、3人の美しい歌声を堪能できる。NHKホールで行われたコンサートにて、日本武道館を目指す体制から地に足をついた活動への方向転換を宣言したNegicco。そんな彼女たちの期待と不安の入り混じった複雑な心情を描いている。

第21位 絵恋「頭痛い」

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みんなのママ、幼女として活躍する絵恋、8枚目のシングル。作詞作曲はそらしどれこーどの中村友則。ゼロ年代美少女PCゲームや桃井はるこなど、古き良き時代の秋葉原電波ソングを思い起こさせる。過剰にキャラに乗った歌い方もいかにもだ。行き過ぎた資本主義、拡大する超格差社会に対し、破滅的解決策をハッピーエンドとして提示する歌詞が痛快。ヲタクは奴隷に扮し、絵恋に対し土下座をするヲタ芸は必見。

第20位 フィロソフィーのダンス「すききらいアンチノミー

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ウルフルズ氣志團などをプロデュースしてきた加茂啓太郎が手がけるフィロソフィーのダンス、1stシングル。作詞は元ふぇのたすヤマモトショウ、作曲は宮野弦士。極上のディスコファンクに乗った、アイドル界唯一の歌唱力を誇る日向ハルのパワフルな歌声に鳥肌。カントは理論では説明がつかない相反する命題が同時成立してしまう事柄が存在すると説いた。つまりは恋愛であり、そしてアイドル自身でもあるのだ。

第19位 欅坂46 「二人セゾン」

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 乃木坂46の妹分であり、「サイレントマジョリティー」で鮮烈なデビューを飾った欅坂46、3rdシングル。作詞はおなじみ秋元康、作曲はSoulifeのSoichiroK、Nozomu.S。浮遊感のある幻想的なメロディーに「セゾン」という言葉が印象的に使われている。「セゾン」とはフランス語で季節の意味。自らの殻にこもっていた「僕」が「君」に出会い、世界が変容するストーリーであり、これは乃木坂46君の名は希望」「今、話したい誰かがいる」の後継にあたる。

第18位 かもめ児童合唱団「インターネットブルース」

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神奈川三崎町を拠点に活動するかもめ児童合唱団、2ndアルバム「インターネットブルース」リードトラック。作詞はプロデューサーの藤沢宏光、作曲は菅原弘明。2016年、最もインパクトが大きかった1曲。のどかな牧歌的なメロディに合わせて、ネット社会をシニカルに批判した歌詞を、無垢な子どもが無感情に歌うシュールな光景に耳を疑った。アイドル楽曲の魅力がギャップであるとするなら、これは最高のアイドル楽曲だ。

第17位 清竜人25「My Girls♡」

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一夫多妻制アイドル清竜人25、6枚目のシングル。作詞作曲は清竜人。四つ打ちのエレクトリックなダンスミュージック。イントロの清竜人のハイトーンボイスで一気に世界観に引き込まれる。ジャズやラップの要素もあり、目まぐるしく変わる展開は清竜人の真骨頂といったところだろう。コンセプトだけでなく、楽曲も唯一無二な存在だ。清竜人25は来年6月解散し、清竜人は新プロジェクトTOWNを開始することが決定している。

第16位 hy4_4yh「K.U.N.F.U」

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世界にYAVAYを発信するハイテンション・ ガールズデュオhy4_4yh、メジャー1stアルバム「YAVAY」のリードトラック。作詞はhy4_4yh、プロデューサーの江崎マサル、作曲は江崎マサル。ブルース・リーをはじめとしたカンフー映画オマージュのバックトラック。ユカリンとチャンユミの高いスキルのラップにテンションは最高潮。単にバイブスが高いだけでなく、ヒップホップとして非常に完成度が高い。

第15位 アイドルネッサンス「Music Lovers」

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古今の楽曲を歌とダンスで表現する「名曲ルネッサンス」をテーマに活動するアイドルネッサンス、T-Palette Recordsからリリースした3rdシングル。JERRY LEE PHANTOMのカバー。この曲を選んだセンスに脱帽。原曲からこの着地は想像が付かなかった。完全に原曲超え。軽快なピアノとグルーヴィーなベースが心地よいダンスナンバー。サックスとの絡み合いが官能的。大サビの石野理子のフェイクがたまらない。

第14位 BABYMETAL「THE ONE」

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「アイドルとメタルの融合」をコンセプトとするBABYMETAL、2ndアルバム「METAL RESISTANCE」収録曲。作詞はKITSUNE of METAL GOD、KxBxMETAL、作曲はMish-Mosh。このアルバムは米ビルボード誌アルバムチャートで39位にランクイン。世界中を熱狂の渦に巻き込む進撃を見せた。「THE ONE」とはファンのことであり、国境や人種を超えて一つになることを表している。荘厳かつ洗練された美しい旋律に乗った、伸びやかな歌声を放つSUMETALに神々しいオーラを感じる。

第13位 callme「Confession」

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元Dorothy Little Happyのメンバーで結成されたセルフプロデュースのcallme、3rdシングル。作詞作曲はメンバーの富永美杜。EDMを基調とした大人っぽくミステリアスなダンスポップ。サウンドプロデューサーRumbの絡みつくようなジャジーな鍵盤が印象的。Confession、つまり「告白」がテーマの曲であり、メンバーの早坂香美が振付している艶めかしく神がかったダンスも見もの。今年メンバー全員が20歳になり、ドロシー時代とは異なる新たな魅力が開花した。

第12位 3776「僕だけのハッピーエンド」 

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富士山ご当地アイドル3776、OTOTOY配信曲。作詞作曲はプロデューサーの石田彰石田彰がギター、井手ちよのがループマシンを使い即興演奏する3776 Extendedスタイル初の音源化。「3776を聴かない理由があるとすれば」を引っさげて行ったワンマンライブで、アルバムの曲をほとんど行わない中、この曲を突然披露。石田が奏でるメロディアスで幻想的なカッティングギターの中、井手がステージ上を縦横無尽に駆け回る姿に観客全員が衝撃を受けた。

第11位 BiSH「オーケストラ」 

 

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「楽器を持たないパンクバンド」BiSH、メジャー1stアルバム「KiLLER BiSH」のリード曲。作曲は松隈ケンタ、作詞は松隈ケンタとプロデューサーの渡辺淳之介ことJxSxK。歌詞を見ればは一目瞭然、脱退したハグ・ミィへのはなむけの歌。苦しく絞り出すようにハスキーボイスで歌うアイナ・ジ・エンドはジャニス・ジョプリンの再来。松隈のエモーショナルなメロディーと重なると心が動かされる。BiSの呪縛から脱し、新境地に達したBiSHの渾身の1曲。

第10位 ハイタッチガールズ「ナチュラルハイ」

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「NEO­(local)CITYPOP」を標榜する群馬県前橋市ローカルアイドルハイタッチガールズ、2ndEP「2nd Launch」収録曲。作詞作曲はまえばしCITYエフエムの川上広武。トライバルでグルービーなビートに、七人七様のラップが心地よい。今年私が出会ったグループで最も衝撃だったのはこのグループだろう。アイドルラップの一つの完成系が、東京から北に100kmの地で誕生していたことを、声を大にして言いたい。

第9位 キャンディzoo 「Balloon Drive Over The Chocolate City」

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動物園をコンセプトとするキャンディzoo、PIGPILE RECORDSからリリースされた 4枚目のシングル「ORANGE SINGLE」収録曲。作詞作曲は三嶋道人。毒っぽい可愛さの詰まったメルヘンチックなギターポップ。彼女たちの快活な歌声と、ストリングスと鍵盤が見事にスイング。多幸感という言葉はこの曲のためにある。同シングルに同じく収録された「雨の薫り」も名曲。MVでは、現アイドル界最強の一角を担う山本丕見子の多彩な表情を拝める。

第8位 Hauptharmonie「パラレルワープ」

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仲睦まじく行儀良く、音楽に遊ぶ7人組の『戦国時代を知らないアイドルたち』Hauptharmonie、箱レコォズからリリースしたアルバム「Herz über Kopf」収録曲。作詞作曲はプロデューサーのあーりーしゃんことO-ant。昨年から歌われてきたライブの盛り上げ曲がついに音源化。爽やかな清涼感とエモーショナルな熱量を兼ねた、彼女たちにしか歌えない疾走感溢れる一曲。メンバーの声色が多彩で、ハーモニーが素晴らしい。 

第7位 まねきケチャ「きみわずらい」

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日本ツインテール協会プロデュースのまねきけちゃ、メジャー1stシングル。作詞はプロデューサーの古谷完、作曲は藤永龍太郎Elements Garden)。いわゆるでんぱ組.com影響下の曲調と、祖父が演歌歌手の藤川千愛によるこぶしの利いた歌唱法のアンバランスさが、新たな世界観を築いた。失恋ソングであり、同じ言葉が繰り返させられる歌詞は、不安定な思春期の恋愛を見事に表現。 

第6位 ヒラノノゾミ from BILLIE IDLE®「どうせ消えてしまう命なら... feat. ファーストサマーウイカカミヤサキ、テンテンコ、ミチバヤシリオ

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「ネオ'80」を打ち出すBILLIE IDLE®のミニアルバム「"4 in 1" THE OFFICIAL BOOTLEG」収録曲。ヒラノノゾミのソロ曲にBiS時代の盟友4人がゲスト参加。作詞はヒラノノゾミ、作曲は松隈ケンタ。アイドル界の異端児として一時代を築いた彼女たちも、解散後は決して順調とはいえなかった。そんなヒラノの心の叫びが叩きつけられたエモいロック。やはり松隈楽曲は彼女たちが一番合う。誰でも良かったわけじゃないと改めて感じる。そして2016年、BiSは再結成した。 

第5位 amiinA「Atlas」

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amiとmiyuの2人組ユニットamiinA、4枚目のシングル。作詞は齊藤州一、作曲は藤本藍。大自然が感じられる幻想的でエレクトロニカ。やはりamiinAはパーカッションやドラムの使い方が最高。音に合わせて、身体が本能のままに自然と動き出す。新メンバーである劇団四季出身のmiyuの真っ直ぐな歌い方が壮大なメロディーにマッチ。楽曲派に支持されているだけある、どっちの意味でも。

第4位 夢みるアドレセンス「ファンタスティックパレード」

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人気ティーン誌「ピチレモン」の元モデルを中心に結成された夢みるアドレセンス、4枚目のシングル。作詞作曲はロックバンドの旗手、KEYTALKの首藤義勝。KEYTALKらしい高速四つ打ちの疾走感溢れるダンサブルなナンバーで、アイドルと奇跡的なケミストリーを起こした。変拍子と転調が駆使され息をつかせぬ展開、耳に残る歌詞選びで、有無を言わせず毎秒心を躍らせる。

第3位 sora tob sakana「広告の街」

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平均年齢14歳のポストロックアイドルsora tob sakana、フジヤマプロジェクトジャパン2ndシングル。作詞作曲はサウンドプロデューサーのハイスイノナサ照井順政。バケツをひっくり返したような音の洪水を、無垢な少女が駆け巡り、一つの音楽が出来上がっていく構成に感涙。それはノスタルジーであり、今しか歌えないアイドルの刹那的な儚さなのかもしれない。

第2位 KOTO「舞踏遊戯」

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圧巻のパフォーマンスを武器に独自の世界観を表現するKOTO、箱レコォズ1stシングル。作詞作曲はサウンドプロデューサーの佐々木喫茶。中毒性のあるオリエンタルなエレクトロポップは、まさに喫茶ワークスの集大成。KOTOが主人公の漫画をイメージし制作したとだけあり、ロリカワイイルックスとは裏腹に熱い闘志を秘めたKOTOの不思議なキャラクター性が炸裂している。

第1位 lyrical school「RUN and RUN」

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HIPHOPアイドルユニットlyrical school、メジャー1stシングル。作詞は岩渕竜也、作曲はSUI。スマホがジャックされたような演出のMVで一躍話題に。昨年のTIFでmeiは「みんなアイドル好きだよね。音楽好きだよね。だからここにいるんだよね」と観客に呼びかけた。まさにそれを体現するエンターテイメントを発信した。必ず来るアイドル冬の時代。それでも僕らはきっと現場に通い続けるだろう。とにかくパーティーを続けよう。これからも ずっとずっとその先も。。。。。って思ってたのに!